息切れ・血痰は重大な病気のサインかもしれません

その他の症状(息切れ・血痰)イメージ

呼吸器の症状には、咳や痰といったわかりやすいものから、息切れがする、前よりも歩くと疲れてしまってすぐ休憩したくなる、痰に血が混じるなどといった、一見、呼吸器の病気なのかわかりにくいものもありますが、これらは重大な疾患のサインである可能性があります。
とくに喫煙歴がある方や、高血圧など基礎疾患のある方は注意が必要です。

「息切れ」とは

「息切れ」とは、普段通りの動作をしていても呼吸が苦しく感じる状態を指します。
医学的には「呼吸困難」と呼ばれ、呼吸が浅く速くなる、息を吸っても十分に吸えていないといった感覚を伴うことが多いです。

軽い運動や階段の上り下りで息苦しくなる程度なら年齢や運動不足によるものと考えられることもありますが、以前は平気だった動作で苦しくなる場合は要注意です。

これらの症状がみられた際には、医療機関を受診することが重要です。

以下のような症状がある場合、呼吸器疾患の可能性があります

  • 以前は平気だった坂道や階段で、息が切れるようになった
  • 少し早歩きしただけで苦しくなる
  • 胸が締めつけられるように苦しい
  • 寝ているときに呼吸が苦しくなり、起き上がらずにはいられない
  • 深呼吸をしても酸素が足りない感じがする
  • など

こうした症状が続いている、徐々に悪化している、といった場合は、お早目の受診をおすすめします。

「息切れ」がみられる主な疾患

息切れの症状がみられた場合、以下のような疾患が疑われます。

気管支喘息

気道に慢性的な炎症が起き、過敏な状態が続いている病気です。
夜間や明け方、運動時に呼吸が苦しくなるのが特徴で、咳や喘鳴(ゼーゼー・ヒューヒュー音)を伴います。
原因はアレルギーやストレスなどで、天候の変化でも症状が現れることがあります。
放置すると悪化してしまいますが、適切な治療によりコントロールが可能で、通常の日常生活を送ることができます。

参考:気管支喘息・咳喘息

肺気腫(COPD)

長年の喫煙によって肺に慢性的な炎症が生じ、肺の構造が壊れる疾患です。
動作時に徐々に悪化していく息切れが特徴で、進行すると安静時にも息苦しさを感じるようになります。
多くの場合、慢性的な咳や痰の症状を伴います。主な原因は喫煙です。
進行性で、一度障害された肺は元に戻らないため、できる限り早い段階での禁煙が非常に重要です。

また、感染をきっかけとして呼吸機能が低下するのでワクチン接種による感染の予防がすすめられます。気管支拡張薬を用いて症状緩和に努めます。

参考:
肺気腫(COPD)禁煙外来予防接種

間質性肺炎

肺の組織が硬くなり、酸素を取り込みにくくなる病気です。
進行性で、日常の軽い動作でも息苦しくなります。乾いた咳や、体重減少がみられます。
原因は多岐にわたり、自己免疫疾患、薬剤、職業性粉塵などが挙げられます。
疾患のグループによっては早期診断と治療が予後を左右し、総合的なマネージメントが必要です。

参考:間質性肺炎

心不全

心臓のポンプ機能が低下し、全身に十分な血液を送れなくなる状態を指します。
横になると息苦しくなり、座ると楽になる、という特徴があります。
また階段や運動時にも強い息切れを感じ、むくみや体重増加、倦怠感などの症状も現れるようになります。
原因としては心筋梗塞、不整脈、弁膜症などが挙げられ、呼吸器・循環器両面からの評価が重要になります。

「血痰」とは

「血痰(けったん)」とは、咳とともに出る痰に血が混じっている状態を指します。
ピンク色や赤茶色の痰が出る場合も血痰と考えられます。
大量に出血している場合は「喀血(かっけつ)」と呼ばれることもあり、重篤な状態を示すものである場合があります。

血痰は、比較的軽微な感染症によることもありますが、肺がんや結核などの重大な疾患が背景にあることもあるため、見逃してはなりません。

「血痰」がみられる主な疾患

肺がん

肺にできる悪性腫瘍で、早期は無症状のことも多いですが、進行すると咳や血痰が現れ、痰に少量の血が混じる、繰り返し血の混じった痰が出るようになります。
そのほか肺がんの症状としては、長引く咳、体重減少、声のかすれ、胸痛などが挙げられます。
肺がんでは喫煙が最大のリスク因子で、喫煙者は非喫煙者と比べて男性で4.4倍、女性で2.8倍肺がんになりやすいとされています。
なかなか改善しない血痰は肺がんの初期症状のことがあるため、早期の検査が必要です。

気管支拡張症

気管支が異常に拡張し、慢性的な炎症や感染が起きやすくなる病気です。
慢性化し加齢とともに、咳とともに泡立った血痰や喀血がみられるようになることがあります。

慢性的な膿性の痰などの症状を伴う場合があります。
原因としては、まず気道感染症が挙げられ、幼小児期での肺炎などが原因となることがあります。
ほかに結核の後遺症、遺伝性疾患(嚢胞性線維症)などによって引き起こされる場合もあります。
細菌感染の繰り返しにより進行することがあるため、定期的な管理が必要です。

肺結核・気管支結核

結核菌によって肺に炎症が起きる感染症です。
現在も年間1万人以上が新規に発症しており、決して過去の病気ではありません。
咳とともに血の混じった痰が出る場合があり、血痰のほかには長引く咳、微熱、体重減少、寝汗などがみられることがあります。
結核菌が伝染することにより発症する場合と、高齢の方や免疫力が低下した方が、以前に感染し身体に潜んでいた菌が再燃する場合があります。
現在では、早期に診断し、抗菌薬の投与など、適切な治療を行うことで完治が期待できます。

急性気管支炎・肺炎

細菌やウイルスによる呼吸器感染症により、気管支や肺に炎症が引き起こされている状態です。
強い咳とともに痰に血が混じることがあります。
ほかに発熱、胸の痛み、悪寒などの症状がみられます。
インフルエンザウイルスや細菌への感染、肺への二次感染が原因となります。
重症化すると呼吸困難や敗血症を招くこともあり、早期治療が重要です。

参考:肺炎

息切れ・血痰などの呼吸器症状で困ったときは当院にお早めにご相談ください

息切れや血痰は、呼吸器の不調を知らせる大切なサインです。
原因によっては命に関わる疾患が隠れていることもあるため、放置せず、早めの受診をおすすめします。
当院では、胸部レントゲンやCT、血液検査、呼吸機能検査などの各種検査を通して、適切な診断と治療を行っています。
必要に応じて、専門機関への紹介もスムーズに対応しております。